隠居部屋
昔は隠居部屋なるものがあったが、今は無い。
住処が隠居部屋そのものである。
で、隠居老人がしてはいけないことに不用品の整理整頓ができない老人がそれを試みることである。
わたしはそこそこモノが少ない生活で、それでも時々不愉快なモノを処分するが、あまりきれいにはしない。
掃除も週に一回、軽くやる程度である。
身の回りのモノはできるだけ手の届く範囲にちりばめておく。
もし、手元になければなにもやらなくなる。
まるで、強制入院させられた老人と一緒で、一日中ベッドの上で天井を見続けてボケるってやつね。
もし、ミニマリストみたいな部屋にいたら、大変。
日中は仕事にでも行っていて家には寝に帰るだけならいいが、なにせ一日中家にいるのである。
運動器具が散乱していなければ決して運動なんてしない。
図書館から借りてきた本が出しっぱでなければ、読まないどころか返却すら忘れてしまう。
下着類も同様で本棚に雑に積んである。嗅覚は順応性が高い故、自らの尿臭に慣れたら最後、シャワーにもはいらなくなる。
そー言えば、若いころは銭湯嫌いで一ヵ月ぐらい平気で風呂に入らなかった。
兎に角、だらしないのが老人の特権である。
なんとか週に一回ぐらい眉毛や鼻毛、耳毛の類を始末するが、世間に対する礼はそれぐらいである。
なにしろ、人に会わなくていいんぜ。スーパーのレジ打ちぐらいでしょ。他人に対面するのは。
多少汚くっても、対応が悪くなることもないしね。
人に合わなくって済むって~のは、人生の宝であります。
後は介護の世話になる前に、ヒラリと天に昇らんことを。
じゃーね。